私たちの周りには情報機器があふれています。テレビ・ビデオ、パソコン、ファミコン、ゲームボーイ、携帯電話など。これにいかに対応するかはかなり悩ましい。
テレビを見すぎる私たち
テレビを見ていると、スイッチをなかなか切ることがでません。切ってしまうとほっとすることがありませんか。まるでテレビに魅入られたようになってしまいます。このとき脳波をとるとアルファー波になっているといわれています。つまり、脳は目をつむったときと同じようになっているわけです。テレビを見るとき脳は休んでいるのと同じ状態です。
子供はテレビをみて言葉を覚えるのではありません。記号として入ってくるだけです。
そればかりか、テレビをみていると悪い影響があると言われるようになってきました。多動症(ADHD)、言葉遅れ、自閉的傾向などの原因または誘因になっているのではないかということです。
テレビで言葉遅れ
テレビをみているとなぜ言葉の発達が遅れるのでしょう。これは僕の想像ですが、テレビでは対話がないからということが一つです。一方的に話されたのでは、言葉を覚えません。繰り返し何回も応答して覚えてゆくのです。
テレビによる言葉遅れは一日のテレビをみる時間やテレビが付いている時間に関係があります。テレビが付いていると、親が子供に話しかけることが少なくなるでしょう。親になったら、子供が寝てしまうまでは子供の相手をしたり、本を読んだり、遊んだりしてあげてほしい。テレビは消して下さいね。
テレビを見過ぎると多動に
最近、学級崩壊が大きな問題になっています。45分間の授業を最後までじっと先生の話を聞いていることができないのですね。先生は落語家のように毎日楽しい授業をすることはできません。勉強というのはいつも楽しくというわけにはゆきません。
テレビは人の興味を引きつけることに努力しています。場面を素早く変えること、珍しい風物、音楽、破壊的、暴力的画面などによって何とかして視聴率を上げることに力を入れています。
テレビ・ビデオに馴れた子供には、先生の授業はおもしろくありません。じっとできない子供は授業中に徘徊することになります。これがきっかけで教室中が騒々しく収拾できなくなることが想像されます。テレビ漬けが学級崩壊の一因になっていると思われます。
情緒障害も
最近自閉症児が増えているといいます。自閉症という病気は、対人関係がなく、言葉の発達も著明に障害される治りにくい病気で、自閉症児は元々そんなに多いはずはありません。1万人に4-5人といわれています。
自閉的傾向もテレビを長時間見る子供に多いと言われています。テレビを見る時間が多いと、人間的な接触が少なく情緒やコミュニケーションの発達に障害が起きるのでしょう。
自閉的傾向の子供がテレビを見なくなると3、4ヶ月で少し話すようになり、表情も豊かになってくるという報告があります。
3歳未満児にはテレビを見せないように
小児科学会が子どもにテレビを見せないように提言しました。これには賛成意見もありましたが、「テレビなしでは生活できない」というような反対論もありました。でも、テレビを見ながら授乳するお母さん、ベビーの目を見ながら授乳してくださいね。
現実とテレビ(仮想現実)との区別ができない乳幼児に仮想現実を見せることに積極的な意義があるでしょうか。しかも、テレビは暴力や破壊などの内容の悪いものが多い。3歳未満の子どもにはテレビ・ビデオを見せないように。小児科医からの強い希望です。