登校・登園停止期間
学校保健法による登校停止期間は、細菌学的・ウィルス学的根拠によって決めているのではありません。
患児本人の安全と周囲への感染の防止を考慮して、臨床的に決めています。従って、登校できるようになったからといって、完全に感染しないという状態ではありません。
治癒していても排菌
たとえば、溶連菌感染症では、溶連菌(溶血性連鎖球菌)は口腔内常在菌であり、集団の中には一定の比率で常在しています。一旦流行すると拡大しますが、流行が治まっても溶連菌保持者(健康保菌者)はいます。
カンピロバクター腸炎やサルモネラ腸炎は小児で多い細菌性腸炎ですが、下痢が治ってからも長い間菌を排出していることが分かっています。完全に下痢が治ってから登園させても、被感染者は出て来る可能性があります。手洗いとか便の始末をしっかりすることが重要です。
厳密な登校停止期間は決められない
一般に、感染症は発病直前と発病後数日が最も感染力があります。
発病後すぐ登校停止させてもすでに被感染者はいるわけです。厳密に登校停止させても誰かが発病してしまいます。登校停止はあくまでも本人の安全と病気が一挙に拡大するのを防ぎ、感染者数を減らすことにあります。
以上のような理由から、決められたとおりにしていても、被感染者は出ます。学校・園にとっても家族にとっても納得できる登校・登園停止期間が合理的です。